日常の進捗

主に自分のための,行為とその習慣化の記録

ヒップホップと(マイ)クリエイティブコーディング

1970年代に誕生したヒップホップは,今や世界の様々な土地で根付く人や資源を結びつき広めるための巨大なカルチャーでありフレームワークである.そしてこれは,自分にとってある種の行動指針となっている.例えば,コードを生活や来歴と結びつけることや,根付かせる,連帯することを目指す自分の「デイリーコーディング」という実践は,ローカルをレペゼンすることを良しとするコミュニティー形成的側面のヒップホップカルチャーの影響下にある.より直接的なところで言えば,フリースタイルラップにおける即興性やライミングにおける言葉遊び,フローのような音楽的な解釈は,自分のクリエイティブコーディング実践において,スタイルとして意識的に取り入れている部分でもある.ビートの上で即興でラップするように,エディタの上で即興でコードを書いている.

愛読しているエド・ピスコー作のコミックブック「ヒップホップ家系図」の各巻頭には「日の当たらない場所に生まれた者たちに捧ぐ」「素晴らしきクズどもに捧ぐ」と記載されている.持たざるものが,土地に根ざした過酷な状況を歌うリリックに宿るリアリティ.それを自分のようなナード兼ヘッズが温かい部屋でそれらに身を重ねて「くらう」ことには欺瞞があるだろうか.ラップスタァ誕生のようなドキュメント番組を観ているとそんなことをかすかに感じる.ヒップホップが本当の意味で現代社会を映す鏡となり,その影は以前よりも随分長く伸びている.だからこそ目で耳で追ってしまう.おそらく自分自身も持たざるもの,残されたものである.

今回は今年特によく聴いた楽曲を2つほど紹介したい.

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ZORNの楽曲「LOST」はNFTアートプロジェクト「Generativemasks」が完売した後にずっと聞いていた.というか直後1ヶ月ほどZORN以外の楽曲がきけなくなってしまっていた.彼は一貫して「All My Homies」や「Life Story feat. ILL-BOSSTINO」などで,仲間や家族について歌っていてそういった部分が響いた.言い聞かせるように聴いていたかもしれない.

NFTのカルチャーがヒップホップシーンとの類似性を指摘する声は美術手帖の特集の中でもみられたが,もしかするとそういった文化背景の理解という意味で,自分の制作物やスタイルは相性が良かったという解釈もできそうだが,果たして.

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2つめはLIBROの「なおらい」から「ハーベストタイム」.LIBROはアルバム「祝祭の和音」から聴いている.聴いていると自然に彼が音とつながることを目指すように,コードと自分がつながりたいという気持ちが湧いてきて励まされる.

SPA!で連載している少年イン・ザ・フッドも良かったな.その他,でかけた土地で活動するラッパーやクルーの動向を調べたり,彼らの楽曲に触れることは一つの楽しみでありリサーチでもある.今後も続けていきたい.全体的に軽くなってしまったが,それも又吉✌

この記事は2021 Advent Calendar 2021の23日目の記事として書きました.昨日は mactkgさん、明日は tomoyayazakiさんです.お楽しみに.